賃貸物件の競売では注意が必要!
土地や建物の貸借者契約において、目的物を使用収益できる貸借人の権利(借りた家に住む権利)を「貸借権」といいます。
競売ではこの賃借権が原因となり、トラブルとなることがあります。
トラブルの例
Aさんが家を所有しています。
BさんがAさんの所有する家を賃貸借契約に基づいて借りて住んでいたとします。
また、Aさんはその家を建てる際に◯◯銀行から借り入れをしていた(抵当権登記)。
しかし、Aさんは◯◯銀行に対してその返済ができなくなりなります。
◯◯銀行は債権回収のためにB所有の建物を抵当権に基づいて競売を申し立てたとします。
そして、競売によって買受人Cが決まり、所有者はAさんからCとなりました。
問題はここからです。
新所有者となったCは、Aさんから借りて住んでいるBさんに対して、出ていくように請求できるか?
このような問題が発生することは少なくなく、この判断の際に「先順位賃借権」が関係してくるのです。
「先順位貸借権」とは?
この先順位賃借権は登記されている場合があります。
その時期がポイントです。
抵当権設定登記より前であれば、買受人(新オーナー)は賃借人に対して明け渡しを求める事ができません。
賃借権は先順位賃借権とされ抵当権に優先します。
競売によって買い受けた人もこの権利を引き受けることになります。
競売の差押えなどによって消滅することはありません。
つまり、そこに住んでいる賃借人は、所有者が変わったからと言って、追い出されることはありません。
しかも、先順位賃借権というのは、借地借家法の適用があります。
借地借家法の詳しいことはここでは省きます。
そのため、賃借人は追い出されることなく住み続けることができます。
このような事から、買受人は明け渡しを求めることは難しくなります。
競売情報では物件明細書の他人の権利に注目
競売情報では、既に説明した賃借権についても記載されています。
3点セットと言われる中の物件明細書では、「買受人が負担することとなる他人の権利」という項目があります。
そこに、賃借権について記載されています。
賃借人が買受人に対抗できる権利なのかどうかをしっかりチェックしましょう。
なお、先順位賃借権などの対抗できる賃借権だったとしても、話し合って明け渡しをしてもらうことが可能な場合もあります。
ただし、
- 賃借人が店舗として利用している場合
- 買受人がその競売物件を別の利用を目的として買おうとしている場合
面倒な競売物件となります。
この場合は実績のある専門家に相談したほうが良いでしょう。