相続や相続税を考える際、自分の財産がどれくらいになるのか、数字で知る必要があります。
預貯金など、数字で示されているものは何ら問題ないでしょう。
しかし、モノを数字にするのは難しくなります。
特に、土地などの不動産。
資産額としても大きく、相続税に影響を与えるモノです。
曖昧にしてはいけません。
また、相続税に影響を与えない場合でも、不動産の適正な評価額が必要となるケースはあります。
例えば、長男が不動産を受け取り、そのかわりに不動産評価額の3分の1となる現金を次男や長女に渡すというケース。
現金で相続資産を分配することはよくあることです。
このような場合にも、不動産価格について正確な数字で出さなくてはいけません。
ただ、実際に計算して算出しようと思っても、何を基準にどのように計算したら良いか分からない、という方は多いでしょう。
そこで、ここでは相続に伴う土地の評価額について、説明していきたいと思います。
すぐに正確な価格を知る必要がある場合や難しいことや計算が苦手という方。
この場合は、専門家による査定をオススメします。
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1. 土地の金額は評価額の種類によって異なる〜一番高いのは実勢価格
不動産については、4つの評価方法があります。
土地の評価方法の種類
- 売買取引時価(実勢価格)
- 公示価格
- 路線価
- 固定資産税評価額
1つのAという土地の金額は、「4つの評価方法でそれぞれ金額が異なる」ということになります。
中でも一番高い金額となるのが、「売買取引時価(実勢価格)」です。
遺産分割の際によく使われる評価方法となることになります。
他の3つの評価方法との関係については、下記の図を参考にして下さい。
聞いた事のない言葉もあるかと思いますので、それぞれどんな意味なのかも含めて順番に説明していきます。
1-1 売買取引時価(実勢価格)とは?実際に土地を売る際の売買取引で成立する価格
売買取引時価とは、その名のとおり、「売買取引」の際の価格のことです。
例
売り手のAさんが少し高めの5000万円で売りに出した。
買い手のBさんが4500万円で買いたいと申し出たとします。
Aさんが4500万円に同意すれば、その価格で取引は成立しますね。
この場合、Aさんの土地の売買取引時価は4500万円となります。
つまり、売り手と買い手との間で釣り合いがとれた価格を売買取引時価。
4つの評価方法の中では一番高い評価額となるのです。
遺産分割では、この価格がよく使われます。
売買取引時価を知る方法は3つです。
・売買取引時価を知る方法1 国土交通省の不動産の取引価格情報から知る
国土交通省は、実際に土地を売買した方から価格情報を集め、そのデータを公開しています。
ただし、すべての土地取引を把握しているわけではありません。
調べたい地域の取引調査結果がない場合もあります。
ここで情報を得られない場合には、別の手段で調べましょう。
・売買取引時価を知る方法2 仲介業者が出している情報から知る
仲介業者の多くは、自社サイトを持っています。
そこには、売りに出されている情報が掲載され、土地の価格も表示されています。
近隣地域の土地が売りに出されていれば、その価格から、ある程度の土地価格を知ることができます。
ただし、あくまでも他人の土地です。
自分が知りたい土地の正確な金額を知ることはできません。
また、ここに掲載される金額は、売り主の意向が反映された金額です。
実際には、そのあとに買主との交渉が行われるため、記載されている金額よりも低くなるのが一般的です。
・売買取引時価を知る方法3 仲介業者による査定から知る
仲介業者は、多くの物件を市場で取引してもらうため、土地を査定するサービスを行っています。
このサービスは無料で行えます。
売ることが条件というわけでもありません。
『簡単』かつ『お気軽』に、不動産を扱う専門業者に自分の土地の価格を調べてもらえます。
査定方法
- 簡易査定
- 訪問査定
土地の場合には、簡易査定だけで十分だと思います。
簡易査定であれば、仲介業者が家に来ることもなく価格を出してもらえます。
また、複数の業者に一括で査定を依頼することもできるので、比較して売買取引価格の相場を出すことができます。
より正確な価格を知りたい方は訪問査定までやってもらうことをオススメします。
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1-2 相続税の計算で利用されるのは路線価という評価方法
相続人の中には、売買取引時価以外の評価方法で計算してくる方もいます。
異なる金額を主張され、揉めるケースも少なくありません。
他の評価方法についても知っておくべきです。
その一つが路線価です。
相続税の計算では、この路線価が利用されています。
路線価とは、国税庁が出している土地の値段です。
図でも記したとおりですが、路線価での計算は、実際に売買した際の価格(売買取引時価)の70%〜80%程度となります。
相続税だけでなく、贈与税の際の土地評価でもこの路線価方式という評価方法が利用されています。
路線価は、毎年1月1日が評価時点となり、国税庁から8月上旬あたりに公表されています。
一般の方が閲覧することも可能です。
国税庁のサイト「財産評価基準書」を閲覧するか、税務署の窓口で相談してみるといいでしょう。
国税庁のサイト「路線価方式による宅地の評価(財産評価基準書)」
また、一般財団法人 資産評価システム研究センターでも確認ができます。
(全国地価マップはご利用にあたってに同意すれば確認ができます)
自分で難しい計算をすることなく、簡単に金額がわかります。
ただし、資産評価システム研究センターによる情報は、全国すべての土地が調べられるわけではありません。
国税庁が出している路線価も同様です。
路線価のない土地や道路もあります。
この場合には、固定資産税評価額で評価されることになっています。
1-3 路線価がない土地の場合には!市町村が出す固定資産税評価額が使われる
市町村(東京都23区内は都税事務所)が出す土地の値段を固定資産税評価額と言います。
不動産をお持ちであればご存知かと思いますが・・・
固定資産税
不動産取得税
登録免許税
土地と家には税金がかかります。
そのかかる税金の基準が固定資産税評価額です。
固定資産税評価額
市町村の税務課(東京都23区内は都税事務所)で調べられます。
しかし、固定資産税評価額は路線価よりも低い評価となるため、公平性に欠けてしまいます。
そこで、路線価のない土地や道路に関して使用され、実際には固定資産税評価額を何倍かにして計算されるのです。
この評価方法を倍率方式といいます。
どの程度の倍率になるのか?
先ほどもご紹介した国税庁のサイトから調べることができます。
確認して、計算してみてください。
2. 相続人によって評価額が異なるような場合には!相続人同士で協議する
4つの評価方法を説明しましたが、相続人によって評価額が異なるような場合には、相続人同士で協議して決めることになります。
遺産分割では、必ずしも、売買取引時価や路線価で計算した評価額が正式な金額となるわけではありません。
遺産分割は、あくまでも相続人全員が納得して同意すれば成立します。
それぞれの評価方法から計算された評価額や時価をもとにして、話し合いで決めることになります。
2-1 話し合いをしても折り合いがつかない、話にならない場合にはどうしたらいいのか
土地の評価額を最終的に決定する場合、不動産鑑定士に評価を依頼するというのも1つです。
ただ、不動産鑑定士を依頼すると数十万円以上。
土地の形状や場所によっては100万円近くかかることも珍しくありません。
また、不動産鑑定士によって鑑定額が異なる場合もあります。
鑑定した時期によって鑑定額が異なる、ということもあります。
それだけの金額をかけなら、まずは一括査定サイトの簡易査定を利用してください。
ある程度の相場が分かります!相続人同士で共有しておくといいでしょう。
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実際に、遺産分割の裁判でも、裁判官は不動産鑑定士がした鑑定額を必ず採用するわけではありません。
不動産鑑定士による鑑定額が証拠として出されていない場合でも、裁判官はわざわざ不動産鑑定士に査定を依頼するようなことはしません。
時価や路線価などの評価額を参考にして決定するのです。
結局のところ、相続の際の土地の評価というのは、正しい一つの評価額があるわけではありません。
相続人全員がこういう知識を知っていれば、評価額をめぐって揉めることなんてないはずです。
しかし、一度揉めてしまうと、おそらく正しい知識を教えてあげても聞く耳を持ってくれません。
折り合いがつく目処もなく、話し合いすらできない状況になると思います。
そういう場合には、早めに弁護士に相談してください。
相続人それぞれの主張や関係するすべての要件などを考慮しながら、柔軟に解決してもらった方が良いと思います。