弁護士へ相続問題解決を依頼するといくら?
とりあえずいくらかかるのか知りたいと思うはずです。
しかし、依頼内容によって異なるため、ここでは明確にはお答えできません。
弁護士報酬は、相談の内容からモメ事があるのかどうか、争いの部分はどこか、遺産はいくらあるのかなどによって変わるからです。
費用の項目6種の中で、遺言の作成、相続放棄の手数料など金額がおおよそ決まっているものもあります。
しかし、着手金や報酬のように相談の内容によって変わるものについては、料金の設定は弁護士(事務所)が自由に決めることができるためわかりづらくなっています。
ここでは、そんな複雑で分かりづらい弁護士報酬の料金体系や相場を紹介します。
1. 基本的な弁護士の費用体系〜費用の種類一覧
金額の違いは依頼する内容と、頼む弁護士によって変わってきます。
それぞれの弁護士や事務所ごとに報酬金額を決めることができるからです。
とはいえ、支払う項目はだいたい同じです。
費用項目は6種類ほど。
相続問題を弁護士へ相談する場合、おおよそどのくらいの金額になるのか、項目をあげてご紹介させていただきます。
1-1 相談料〜1時間1万円程度が相場
現状を弁護士へ説明し、法的にどのような解決策があるか等の相談にかかる費用。
相談後、依頼するかどうか考えた結果、依頼しないという選択も出来ます。
また、「話を聞くだけなら1回目は料金をとらない」という所も。
一般的には、30分毎に5000円という料金設定です。
相続の相談には1時間くらいかかるので、1時間で1万円程度をみておきましょう。
相談にいく場合には、漠然と話をするより、知りたい内容をはっきりさせておけば時間も費用も多くかかりません。
また、その場で委任することになれば、着手金等に含んでもらえる場合もあります。
1-2 着手金〜相続財産によって決まる
委任が決まれば発生する費用ですが、最近では着手金を取らない弁護士もいます。
しかし、一般的には着手金は必ず必要になる費用になります。
解決するための活動を行うための費用で、金額は依頼する内容、どのくらいの結果を見込んでいるかによって決められます。
望むような結果が得られなかったとしても返金はありません。
支払いの時期は、着手という言葉の通り、委任後すぐに支払うのが一般的です。
相続問題の依頼の場合は、一括での支払いが通常ですが、分割払いが出来る場合もあります。
1-3 手数料〜5〜10万円からが相場
例えば、
- 「遺言書の作成」または「遺言の執行」
- 「相続放棄手続き」
などをお願いする場合には手数料として費用を請求されます。
遺言書作成費用の相場
遺言の内容にそって分配するとしても、1000万の遺産と1億の遺産では、やるべき作業は大きく変わる上、手間も増えます。
そのため、金額は手続きの種類と、内容が単純か複雑かによってかわります。
金額は大体10〜20万円ぐらいですが、内容が複雑になるほど費用も高くなります。
公正証書遺言として公証役場に保管する方法もあり、この場合、手数料が発生し、費用額はどのくらいの相続遺産があるかによって変わります。
公正証書遺言とは
遺言を自分で書かず、公証人に書いてもらいます。
通常、公証役場で書くことになりますが、もし行くことが難しい場合は家まできてもらえる。
遺言書原本を公証役場で保管するので、なくなったり、書き換えられる不安はありません。
遺言の内容をもとに遺産の分配などの手続きをしてもらう手数料です。
金額は、相続遺産の額や相続人が何人いるか?など、執行の困難度によってかわってきます。
【相続遺産の額でのおおよその金額】
300万円以下 | 30万円 |
---|---|
300万円〜3000万円 | 遺産の2% |
3000万円〜3億円 | 遺産の1% |
それ以上 | 遺産の0.5% |
相続したくない場合の手続きの手数料です。
金額は10万円ほど。
手続をおこなう前に、財産内容や相続人の調査をおこなう場合は、調査費用が別途必要。
また、家庭裁判所へ申し立てする手数料も別途必要です。
相続する財産総額や、相続人を調査する手数料です。
金額は、5万円ほど。
調べた内容から相続関係図の作成や、財産目録の作成費用も含まれています。
弁護士が小為替代金や切手代金、交通費など弁護士が立て替え支払した分は実費として別途必要。
相続関係図とは
言葉の通り、亡くなられた方と相続人の関係を図で説明したもの。
調停になる場合や、登記などにも活用できます。
財産目録とは
相続する財産の内容、どんなものが、どれだけあるのかを種類ごとに一覧にしたもの。
協議をしていく資料となり、一覧となっていてわかりやすく、重宝されています。
1-4 日当〜1時間1万円程度が相場
費用としてよく聞くものですね。弁護士が遠方へ出張した際の費用。
言葉の通り、出張日数によって変わりますが、明確でわかりやすい費用です。
1時間あたり1万円で、半日なら5万円程度が相場です。
なお、着手金を支払っている場合(依頼している場合)には、出張したとしても日当は発生しないのが通常です。
この場合、交通費だけが請求されます。
1-5 実費〜実際に要した費用
手数料や報酬金とは違い、実際に発生した費用。
相続の場合に発生する実費は以下のようなものです。
- 交通費
- 郵便切手代
- 印紙代
- 小為替代
- 戸籍・除籍謄本代
調査や書類作成のためにかかるものは弁護士が立て替えます。
最終的に、実際にかかった金額は支払うことになります。
1-6 報酬金〜受け取った金額をもとに算出
問題が解決した時に発生する費用。
通常、解決時の経済的利益をもとに計算される。
利益がなければ、発生しないものですが、結果とは関係なく報酬が決まっている場合もある。
これを基本報酬と言います。
経済的利益とは
解決する事によって得た利益の事。
【例】遺言で相続はさせないとなっていた場合
弁護士が遺留分の減殺請求で、300万円の相続となれば、経済的利益は300万円。
報酬額は「経済的利益の何%」と目安となる利率があり、金額によって利率は変動します。
2. 遺産分割協議を弁護士に依頼した場合〜費用の事例
遺産分割協議を弁護士へ依頼した場合、実際どのくらいの費用となるのか目安をご紹介します。
・相続遺産の額や内容の複雑さによって費用はかわる。
通常、着手金と報酬金を支払うことになります。
・着手金は20万円から、協議内容や遺産金額によってきまる。
報酬金は、経済的利益から計算されますが、日弁連の旧報酬規定に沿った金額で計算されることが多い。
(日弁連の旧報酬規程については後程説明させていただきます)
遺留分を下回る相続となった場合、遺留分の減殺請求で取り戻すことになり、一般的な費用にプラスされます。
内容証明郵便を作成するだけの場合、費用は3〜5万円が相場です。
内容証明だけでは解決できない場合には、多くの場合、日弁連の旧報酬規程に沿って算出され、経済的利益の額で決まっています。
(日弁連の旧報酬規程については後程説明させていただきます)
2-1 日弁連の旧報酬規定~着手金や報酬金を決める際の目安となる規定
日本弁護士連合会(日弁連)とは、日本で弁護士として活動する全てものが登録しています。
弁護士の指導や守るべき会則制定など弁護士が正しく務める為にある法人。
日弁連は、弁護士報酬の基準(旧報酬規程)を定めています。
また、日弁連が弁護士へアンケートをして、報酬の目安をまとめたデータもありますので、参考にしてみてください。
この基準を目安にして報酬額を決めている法律事務所や弁護士が多いです。
・旧報酬規定
日弁連の旧報酬規程は経済的利益をもとに着手金や報酬金を計算します。
【300万円以下の場合】
着手金 | 8% |
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報酬金 | 16% |
【300万円を超え3000万円以下の場合】
着手金 | 5%+9万円 |
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報酬金 | 10%+18万円 |
【3000万円を超え3億円以下の場合】
着手金 | 3%+69万円 |
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報酬金 | 6%+138万円 |
【3億円を超える場合】
着手金 | 2%+369万円 |
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報酬金 | 2%+369万円 |
着手金は依頼時に支払われることが多い為、見込金で計算されます。
報奨金は、解決した時の実際の利益をもとに計算されます。
・報酬規定を使って実際に計算してみる〜総遺産額3000万円のうち、500万円の遺産相続を受けた場合
【遺産分配が0円から500万円になったケース】
経済的利益は500万円。
【遺産分配が当初300万円だったのが500万円になったケース】
経済的利益は500万円−300万円=200万円
3. 相続の弁護士費用は争いがあるかないかで異なる〜争いがある場合は加算される
弁護士報酬は、相談内容が複雑になるほど金額はあがります。
反対に、モメ事もなく話がスムーズに進む場合、判断は難しいですが費用は減額されたりします。
弁護士は通常、トラブルをなるべく回避する方法をとるもの。
早い段階で弁護士依頼を決めることで、争いを減らし弁護士費用を抑える事につながります。
今後、
- 弁護士への相談を考えておられる方は、自分の相続分はどれくらいか?
- 依頼した場合の着手金・報酬金はいくらいになるのか?
の2点は必ず確認するべきですね。