遺産分割協議は相続人同士の話し合いのことですが、お金が絡む話し合いのため、スムーズに話しがまとまらないことも少なくありません。
中には、
- 遺産分割協議書への承諾を迫られた。
- 自分にとって不利、または不公平な内容の遺言書が出てきた。
- なぜか自分は遺産をもらえないことになっていた。
等々。
きちんとした分配がされない場合には、相続人だけで解決するのはより困難になります。
そんな時には適切に対処していかなくてはいけません。
1つは相続の知識をつけること、もう1つは遺産分割調停の活用です。
ここでは、遺産分割協議が進まない場合について説明します。
1. 協議をスムーズに進めるためには?相続分の把握をする
相続人同士で分配を決めるのが遺産分割協議です。
やみくもに自分の主張を通そうとしても、話しはまとまりません。
相手が納得する話し合いができるように、まず内容を整理します。
また、自分のもらえる分がどのくらいになるのか把握してください。
相続では、法律で決められた分け方があります。
自分の言っていることが法律でも正しいのだと説明するのも重要です。
感情的にならず、法律に基づいた分配を提案してみましょう。
1-1 分割協議が進まないケース〜具体的な事例
父親の面倒をみていたことから、兄が自分が全部相続すると言ってくることも!
この場合、自分にも権利があり、法的に認められている事を伝え、請求します。
今ある相続財産だけでの分配が始まったら!
頭金が特別受益にあたることを説明して、遺産の計算をやり直してもらう。
兄と自分が均等に分配された!
寄与分というものがあり、肩代わりした借金も考慮した上で分配されることを主張する。
主張の正しさを説明できるように準備しておきましょう。
2. 協議を進めるための解決策〜弁護士を第三者として介入させる
相続について知識の差があり、話がかみ合わない事もよくあります。
感情的になり、最終的にはモメ事になることも。
ややこしくなる要因の一つは、長引く事です。
長引けば長引くほど冷静さは失われ解決は困難となります。
中には一定の期間内に手続きをしなくてはいけない相続問題もあります。
できれば早く、もめることなくまとまって欲しいものですよね。
素人同士だと、本からの知識や知人からの情報を頼りに話しをします。
同じ法律でも、解釈がわかれる事も。
そんな時、弁護士だと正しい知識と経験から、確かな情報を教えてくれます。
説明も判例をあげるなどわかりやすい。
法律に関してだけでなく、手続きや税金の相談にものってもらえます。
弁護士を間にたてるメリットは、
的確な解決とスピード。
専門家として冷静に、客観的なアドバイスをしてもらうと、同じ内容を話していても納得しやすい。
相続とは大切な人を失って精神的に不安定になりやすい時期に考えなければならないもの。
冷静な第三者を交えて話し合いをしたほうが、トラブルになりづらいと言えます。
また、調停へと話が進むようなら弁護士がとても頼りになります。
3.話し合いではどうしてもまとまらない!遺産分割調停の活用
- 話合いがまとまらない
- 話し合いに参加すらしてくれない人がいる
そんな時は遺産分割調停が利用できます。
遺産分割調停とは、どういうものなのでしょう?
簡単にいうと、家庭裁判所で調停委員が相続人の間に入って問題を話し合いで解決するもの。
いつでもできるわけではなく、協議がまとまらない、または、協議をすることができない場合のみ利用できます。
相続人同士が顔をあわせることはありません。
お互い別々の部屋で待機し、自分の番になったら調停室へとむかうシステムです。
協議ですでに、物別れとなっているのですから、顔を合わせずにすむのは助かります。
調停の進行は順序立てて進められます。
- 相続人がだれなのか?
- どのくらいの遺産があるのか?
- 特別受益や寄与分はあるのか?
- もしあるなら、どのくらいか?
一つ一つ段階をわけて、お互いの主張も聞きながら進んでいきます。
状況の把握から始まりますので1回では終わりません。
何度か話し合いを重ねるため、数ヶ月かかるのが通常です。
全ての主張を聞いた調停委員は、助言や主張が重なる場合は調整し、具体的な解決案を提示します。
あくまでも話し合いで解決するのが調停です。
調停委員の考えた分割でみんなが納得できれば、裁判所は調停調書を作成します。
遺産は調書の通りに分割されます。
3-1 調停で解決しない場合は遺産分割審判へ
調停委員に提示された内容にも納得いかない場合は?
調停で話がまとまらなければ、何もしなくても遺産分割審判へと移行します。
審判とは、話合いではなく、法律をもとに裁判官が、それぞれの主張を聞き、証拠を確認し判断します。
機械的に法律をもとに決定されるわけではありませんが、裁判官を交えてお互いの主張を言い合うことになります。
ここで出された決定は、裁判でだされる判決と同じです。
強制的な力をもっています。
この決定に納得できない場合、最終手段として高等裁判所へ問題をもっていくことも可能ですが、そうまでならないようにしたいものですね。