グレーゾーン金利とは
グレーゾーン金利とは、出資法により設定可能な上限の金利と、利息制限法により設定可能な上限の金利の差のことであります。
出資法の上限金利を超える金利で貸金などを行えば、刑事罰が科されます。
一方、利息制限法の上限金利を超える金利で貸金を行えば、刑事罰は科されないものの、その受取利息は不当利得に該当し、民事訴訟等によりその返還を求められます。
以前は、みなし弁済規定というものがありました。
それは、利息制限法の上限額を超える利息を受け取っても、債務者がその支払を任意に行うなど一定の要件を満たした場合。
出資法による上限金利の範囲内で、その支払利息を有効なものとするというものです。
この規定があり、かつての消費者金融のほとんどが、出資法による上限金利に近い水準で、金銭を貸付けていました。
なお、このみなし弁済規定は、現在では廃止されています。
出資法の上限金利の変遷
出資法の上限金利は、度々変更されてきました。
その変更の内容は次の通りです。
@ | 昭和58年10月31日まで | 年109.5% |
---|---|---|
A | 昭和58年11月1日〜昭和61年10月31日 | 年73.0% |
B | 昭和61年11月1日〜平成3年10月31日 | 年54.75% |
C | 平成3年11月1日〜平成12年5月31日 | 年40.004% |
D | 平成12年6月1日〜平成22年6月19日 | 年29.2% |
上記の@〜Dから、利息制限法の上限金利を差し引けば、グレーゾーン金利が明らかとなります。
利息制限法は、元本の金額に応じて3種類の金額が設定されております。
仮に、元本が10万円を以上100万円未満の金額であったとすると、上限金利は18%です。
上記から18%を減じれば、グレーゾーン金利が分かります。
上記の違いは明らかです。
@ | 昭和58年10月31日まで | 年91.5% |
---|---|---|
A | 昭和58年11月1日〜昭和61年10月31日 | 年55.0% |
B | 昭和61年11月1日〜平成3年10月31日 | 年36.75% |
C | 平成3年11月1日〜平成12年5月31日 | 年22.004% |
D | 平成12年6月1日〜平成22年6月19日 | 年11.2% |
となります。
現在の情勢
なお、平成22年6月の改正貸金業法の完全施行に合わせて、出資法の上限利率は20%に引き下げられました。
20%は元本10万円未満の貸金に対する利息制限法の上限利率に一致します。
元本が10万円以上100万円未満、100万円以上の場合、出資法の上限金利と利息制限法の上限金利との間に差が生じ、グレーゾーン金利が発生するかのようにも思われます。
しかし、改正貸金業法第18条の2において、利息制限法の上限利率を超える利息は全面的に禁止されることとなりました。
平成22年6月以降は、グレーゾーン金利は消滅することとなります。
過払金請求と消滅時効の問題
債権には消滅時効があります。
過払金債権は民法上の不当利得返還請求権に該当しますから、10年で時効により消滅します。
例えば、請求時から遡って10年で債権が時効により消滅するとすれば、請求時から10年以上前に発生した過払金請求権は、時効により消滅することになります。
出資法の上限金利が29.2%であった時代に発生したグレーゾーン金利による支払利息の返還を求めることができるにすぎません。
しかし、消滅時効の起算点を、取引の終了時とすると、取引が継続している限り、消滅時効は進行せず、いくらでも前に遡って過払金の請求ができます。
出資法の上限金利は、
年109.5%→年73.0%→ 年54.75%→年40.004%→年29.2%と低下してきています。
昔の超高金利時代までに遡って、過払金の返還を請求できます。
現在の判例等では、消滅時効の起算点について、取引終了時説を採用しております。
ですから、取引が継続している限り、過去の高金利時代にまで遡り、過払金の請求が可能です。
なお、上述の平成22年6月の改正貸金業法施行を中心とする一連の改正の中で、グレーゾーン金利は廃止されました。
それ以降に締結された貸金契約については、この過払金請求の問題は発生しないことになります。
時効は取引が終了してから10年。
実際に過払い金の請求の対象となる人は多くいるのが実情です。
まずは過払い金に関する専門家に相談しましょう。