できるだけ早く釈放させてあげたい!
外国人の方が刑事事件をおこした場合、同時に強制退去の問題がでてくるので、あせってしまいますよね。
自分たちができることは?
何から手をつければ良い?
何かしたいけどわからない
このような状況だと思います。
本人も追い詰められていると思います。
まずは、できるだけ早く釈放してもらえるように手を尽くしましょう。
ここでは、できるだけ早く釈放されるために、家族・友人・恋人・雇用主としてできることを説明します。
外国人の方がどのタイミングで国外へ強制送還となるのか、逮捕後の勾留期間や釈放されるまでの流れについても紹介します。
1. なるべく早く身柄を釈放させたい!家族や知人・恋人や雇い主にできること
家族・知人・恋人・雇い主が逮捕されてしまった人にできることを、順に説明していきます。
1-1 身柄が拘束されている場所を把握しましょう
逮捕されてしまったたら、まずは、どこの警察署にいるのかを把握することからはじめてください。
面会するにも、差し入れをするにも、拘束されている場所がわからないと何もできません。
逮捕された場合、通常は警察署から家族に対して連絡がきますが、家族ではない場合には、自分に連絡がくるとは限りません。
どこの警察署にいるのか確認してください。
1-2 なぜ逮捕されたのかを確認しましょう
どのような理由で逮捕されたのか、確認する必要があります。
たとえば、オーバーステイなのか、傷害事件をおこしたのか、または薬物の使用など、逮捕された理由によって対応もことなります。
できるだけ詳しく、警察に聞きましょう。
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1-3 弁護士を探しましょう
逮捕されてしまい、拘束されている警察署、どんな理由で逮捕されたのかが分かったら、すぐに弁護士を探してください。
早く釈放するためには、警察や検察と交渉したり、被害者と示談交渉が必要になります。
弁護士だからこそできる専門的な対応は、素人ではできません。
弁護士による弁護活動が必須です。
また、早期釈放には私選弁護人が必要です。
刑事事件の場合、弁護士といっても、当番弁護士や国選弁護人という選択もできます。
しかし、当番弁護士は一度きりの面会のみ対応してくれる弁護士のことで、依頼をしないとそれまでです。
また、本人から、お金がないから国選弁護人をつけたい、と言ってくる場合もあります。
本人の意思に任せる、という選択も一つですが、国選弁護人では早期釈放は叶いません。
早期釈放を望むなら、すぐに弁護士に依頼して、私選弁護人になってもらってください。
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1-4 弁護士に面会しに行ってもらいましょう
弁護士に依頼をしたら、すぐに面会に行ってもらいましょう。
面会のことを接見と言いますが、家族であっても、すぐには接見ができません。
それが、弁護士だけがいつでも面会できるのです。
逮捕された本人はとても不安です。
なれない警察の取り調べで、心が休まらない状況だと思います。
そんな状況で、自分の話を聞いてくれる、アドバイスをくれる弁護士の存在は精神的に大きな支えになってくれます。
家族や友人が外部からできる支援としては、私選弁護人をつけて、面会に行ってもらうことが、最良のサポートとなると思います。
1-5 面会が可能になったら自分たちが会いに行く
家族や知人が面会できるようになったら、すぐに会いにいってあげてください。
逮捕されてしまうと、外の状況がわからず、情報さえもわからない状態です。
今までの生活が一変してしまうので、心配や不安で冷静ではいられなくなります。
自分が知っている人が面会に来てくれるだけで、とても安心できます。
まだ私選弁護人をつけていない状況で、先に自分たちが面会に行った場合には、弁護士に依頼することを伝え、少しでも心が落ち着くようにしてあげましょう。
1-6 必要な物を差し入れる
逮捕されてしまうと、当たり前のことが当たり前にできなくなります。
とても不便を感じることでしょう。
必要なものがあっても、自分で買うこともできません。
何が足りないのか、必要なものを聞いてあげて、差し入れしてあげてください。
どんなものなら差し入れしていいのか、警察署に問い合わせて確認しましょう。
1-7 監督者としてしっかりと監督することを伝える
早期に釈放させるための一つに、監督する者の存在が必要です。
捕まった本人をしっかり監督する人がいないと釈放は認められません。
基本的には家族ですが、家族がいない場合には雇用主や友人なども監督者になることができます。
捕まった本人が証拠を隠したりしない、逃げたり、被害者がいるなら被害者に脅迫したりしないようにするのが監督者の役目です。
しっかりと監督することを警察に伝えてください。
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2.逮捕後釈放されるまでの流れ
逮捕されてからの流れを説明します。
警察は、逮捕した人を48時間以内に検察官に身柄を渡すかどうかを決めます。
これを送致といいます。
例えば、逮捕が間違いだった場合や微罪の場合には、検察に身柄を渡すことなく釈放してくれます。
警察から検察に身柄が引き渡されると、検察官が今度は24時間以内に釈放するかどうかを決めなくてはいけません。
仮に、釈放しないと決めたら、裁判所に対して勾留請求をします。
勾留とは、身柄を拘束するという意味です。
裁判所は検察からの請求をうけると、拘束することを認めるかどうかを決定します。
裁判所が請求を認めれば、拘束は続くことになり、基本的には10日間は釈放されません。
警察の留置施設で生活することになります。
警察や検察は、この期間中に取り調べをしたり、実況見分といった捜査をおこないます。
一方で、検察官が勾留しないと判断すれば、または裁判所が勾留請求を認めないと判断した場合には、釈放されて家に帰ることができます。
検察は、10日の勾留期間が終了すると、釈放しなくてはいけません。
もっと勾留して捜査をしたい場合には、検察官は勾留延長を裁判所にお願いします。
延長が認められると、さらに10日間の延長となります。
引き続き、取り調べなどの捜査が進められます。
また、検察は、勾留を延長しないと判断した場合には、起訴するか不起訴するかの判断をします。
勾留延長もなく、不起訴処分がされた場合には、釈放されて帰宅できます。
勾留延長は、1回のみしか認められないので、20日間が限度です。
20日間の勾留が終わる際には、起訴するか不起訴にするかを決めます。
不起訴処分や起訴猶予となれば、身柄は釈放されて家に帰宅できます。
起訴された場合、その後は刑事裁判が始まります。
逮捕された人は、それまでは被疑者という立場でしたが、起訴後は「被告人」となります。
被告人となると保釈が認められて、家に帰ることが可能になります。
保釈してほしい場合には、裁判所に保釈請求をして、認められると、保釈金を支払うことを条件に釈放してもらえて帰ることができます。
保釈請求が認められない場合や保釈請求をしない場合には、裁判が終了するまでは拘束されつづけます。
また、裁判で、執行猶予がつかずに実刑判決となった場合には、一度釈放されても、再度拘束されて刑務所に入ることになります。
3.外国人が逮捕された場合には弁護活動は必要!弁護士だからできること
日本は、他の国と比べて、逮捕された外国人への配慮が足りていません。
取り調べ等、すべての手続きは日本語でおこなわれます。
日本語がわからないと、とても不利となるのです。
日本語が使えない場合、会話をするときに通訳が入りますが、通訳の微妙なズレから違った内容が伝わってしまう可能性もあります。
また、通訳は言葉を母国語になおしてはくれますが、意味まで説明してくれるわけではありません。
日本人でさえ難しい法律に関する内容ですよ。
外国人が理解するのは困難です。
日本語がわからないことで、必要以上の重い罰を受ける危険もあります。
逮捕された人をなるべく早く釈放させたいと思うなら、外国人の弁護人経験が豊富な弁護士に依頼することが重要です。
- 事件をおこした外国人の母国語を話せること
- 言葉だけではなく文化の違いにも理解や配慮ができること
犯罪の内容にかかわらず、これらも考慮して弁護士を探してくださいね。
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3-1 弁護士だからできることがある
弁護士がどんなことをしてくれるのか、釈放に向けて弁護士だからできることを紹介します。
@検察に勾留請求しないように働きかける
逮捕後、検察官に身柄が引き渡されても、弁護士は検察官が裁判所に勾留請求をしないように働きかけることができます。
また、裁判所に対しても、勾留を却下するように意見書を出したり、準抗告(異議申立)をしたりと。
勾留されないように、弁護士だからこそできることをやってくれます。
A勾留されないように示談成立へと動く
傷害事件など、相手がいる犯罪を犯した場合には、その相手と示談できるかどうかが早期釈放の決め手になります。
示談が成立していると、すでに当事者同士では解決されているとして、逮捕された人にとっては有利な材料となります。
逮捕された本人が被害者に接触することはできませんし、また逮捕された人の家族、または友人だと被害者は警戒します。
弁護士なら会ってくれる、話し合いに応じてくれる、というのが通常ですので、示談の可能性がある場合、弁護士は必要になってきます。
4.母国へ強制退去となる行為とは?出入国管理及び難民認定法の24条をチェック
日本にいる外国人が退去強制事由にあげられている行為をした場合、強制的に国外へ退去させられることがあります。
どのような場合に退去となるのか説明していきます。
4-1 外国人が強制的に日本から退去されるケース〜入管法第24条
外国人が強制的に日本から退去となる事について書かれています。
退去自由 | 詳細 |
---|---|
不法入国者 |
密航者 |
不法上陸者 |
正式なビザが無い人 |
偽造・変造文書を作成または提供した人 |
不正なパスポートやビザや文書を作成 |
資格外活動者 |
与えられた残留資格 |
不法残留者(オーバーステー): | 決められた残留期間を過ぎている人 |
刑罰法令の違反者 |
定められた一定の罪をおかした人 |
売春関係業務の従事者 | 売春に関わった人 |
退去命令違反者 | 退去命令を受けたのにまだ日本にいる人 |
参考:出国命令(入管法第24条の3及び第55条の2から第55条の6)〜出入国在留管理庁
上記の表の中でも、事件の内容に関わらず違反と認められただけで退去が決定してしまうのが以下の4つです。
@売春に関係する行為をした場合
売春は刑事事件としてあつかわれなくても、売春の事実がみとめられれば強制退去となります。
売春をおこなった人だけでなく、客引きや場所を貸すだけでも同じあつかいとなります。
ただ、無理やり日本につれてこられ売春を強要させられていた場合は、退去とはなりません。
A 薬物事件をおこして罪が確定した場合
刑事事件として捜査がおこなわれ、罪が確定すれば退去も決定します。
実刑であれば刑期が終わったあと。
たとえ執行猶予付きの判決が出たとしても退去となります。
B オーバーステーの場合
残留期間が過ぎていればすぐに退去です。
更新や変更の手続きを忘れていた場合も期間が過ぎていれば退去することになります。
刑事事件をおこし、身柄を拘束されている間にオーバーステーになれば、強制退去となる可能性もあります。
C 1年をこえる実刑の判決をうけた場合
刑務所からでた後、在留特別許可がみとめられなければ強制退去。
上記以外でもおこした罪の内容。
状況によっては退去となる場合もあります。
また入管法違反があれば、退去することもあります。
実刑1年未満の判決や執行猶予付きの判決の場合はどうなるの?
入管法(入管法24条4号の2)では、執行猶予判決でも強制退去の対象になるとさだめています。
窃盗罪等の一定の罪(粗暴犯)では、懲役、禁固以上の有罪判決を受けた者はたとえ執行猶予の言い渡しを受けても退去強制の対象となる
永住や定住が認められている人は、上記の場合でも退去せずにすみます。
しかし、実刑1年未満の判決や執行猶予付きの判決だからといって安心はできません。
強制退去の可能性もあると考えて対処したほうがいいでしょう。
外国人は起訴された時点で退去となる可能性もある
- 他人の家に勝手に入った
- 偽物のお金を作った
- 偽の文書を作った
- クレジットカードなど磁気カードに関係する違反をおこなった
- ブランドなどの偽物を作った
- 違法な賭博をおこなった
- 人を殺した
- 人に怪我をおわせた
- 誘拐など、相手のゆるしもなく自由をうばい拘束した
- 人をだました
- 人を脅したり、恐怖や不安をあたえて金品を無理やりうばった
起訴された時点で退去となる可能性もあります。
上記の場合、不起訴へ向けた弁護活動が重要となります。