こんな表現ではトラブルを招く
遺言書を残す最大のメリットは、トラブルを回避してスムーズな相続を可能とする事だと思います。
しかし、専門家のアドバイスを受けずに作成した場合、意味のない遺言書となってしまうケースが多いのも現状です。
例 1 この違いが分かるでしょうか?
@○○銀行、○○支店、口座番号1234567については妻に任せる
A○○銀行、○○支店、口座番号1234567については妻に与える
遺言書として正しいのは、A
なぜ@だとだめなのか?
それは、任せるという表現では明確な答えになっていません。
任せる=与えるとはなりません。
また、「お願いする」というような表現も同様に明確ではありませんね。
よって、@では解釈の違いが起こり、問題となります。
例 2
更に、表現方法について言えば、
○○銀行○○支店の預貯金を長男と次男に相続させる
これでは○○銀行○○支店に複数の口座があった場合はどうなるのでしょうか?
- 半分ずつなのか?
- 長男に多く渡したいのか?
明確ではありませんね。
このように、遺産についても具体的に明記する必要があります。
相続させる人についての記載も同様です。
相続人の誰に?
相続人以外であればどこの誰に?
きちんと、明確に特定できるような記載が必要となります。
遺言内容についての注意をおさらいすると、
誰に?
何を?
どう与えるのか?
誰が見ても特定できる表現にしましょう!
争いの原因となる遺言内容とは?
せっかく用意した遺言が有効に活用される為にも、いくつか注意点を紹介します。
- 遺留分を侵害しない
- 遺言内容を決めた経緯について理由を記載(付言事項)
- 遺産の一部が抜けていないか?遺産全ての分割方法を指定
- 胎児に相続させる場合には死産だった場合についても記載
- 遺贈と相続という表現に注意
- 個人事業の場合には、事業経営に関わる資産は特定のものに承継
- 遺言によって特定の者を排除する場合には、遺言執行者を指定
- 相続権のない孫や内縁の妻に遺産を残す場合には、「遺贈する」と表記
- 祭祀財産を承継する者に対しては、墓地の管理料や法要などの費用分も遺産から相続させる
- 遺言で保険の受取人を変更した場合、受取人となる相続人に対して「保険会社にその旨を伝える」と記載しておく
このような点に注意して遺言を作成してください。
そもそも遺言が法律上有効なものである必要があります。
意思能力が欠けるものによる遺言は、遺言書の書式の要件を満たしていない遺言書は無効となります。
注意して慎重に作成しましょう!