慰謝料に相場はあるの?
慰謝料がいくら?
このようなやり取りが出てきます。
交通事故の中でも人身事故の場合、様々な損害が発生します。
- 治療、手術費用
- 入院費用、入院雑費
- 通院費
- 休業損害
- 逸失利益(後遺障害が生じた場合)
上記以外にも、精神的な苦痛に対しての「慰謝料」が発生するのです。
ですが、上記にあげた損害の全てを総称して「慰謝料」と認識いる方が多くいます。
それは間違えです!
専門家や保険会社との会話で慰謝料についてやり取りをするときは、他の損害とは別ということを理解したうえで慰謝料を考えなくてはいけません。
まずは、そもそも慰謝料とは?という事をよく知っていただきたいと思います。
1. 慰謝料を決める際には何を基準にすればいいの?3つの基準
例えば、「慰謝料は200万円!」とむやみに請求しても認められません。
何を基準にして検討すればいいのか?
基準となるものは3つあります。
この中で一番低い基準となるのは自賠責保険基準です。
まずは自賠責保険基準での慰謝料がいくらになるのかをチェックしてください。
そして、損害保険会社が提示してくる金額が妥当かどうかを判断してください。
なお、保険会社の基準は自賠責保険より高くなるのか一般的です。
自賠責基準よりも低い金額を提示された場合には話にはなりません。
納得できない旨を伝えてください。
ただ、保険会社の基準だったとしてもすぐにOKしてはいけません。
保険会社基準の金額は弁護士基準よりも低いからです。
このように、用いられる基準によって金額に差が出ることを知っておきましょう。
2. 一番低い基準となる自賠責保険基準で計算してみよう〜慰謝料の最低額の目安
保険会社が提示する金額が妥当かどうか(相場なのか)を判断するためには、一番低い基準となっている自賠責保険での慰謝料を計算してみましょう。
自賠責保険での慰謝料は、1日あたり4200円です。
これは、
@治療期間
A実治療日数
によって算出されます。
なお、治療期間とは治療開始日から治療が終了するまでの日数となり、実治療日数とは実際に病院に行った日数のことです。
2-1 自賠責保険基準での慰謝料計算例〜治療期間が約3ヶ月の場合
治療期間が10月1日から12月31日の場合で計算してみます。
治療期間の日数は92日間
次に、実際に病院に行って治療をした日数を出してください。
実際に病院に行った日数が40日だったとします。
治療を受けた日数(40日)×2倍で計算することになっています。
治療期間の日数(92日)に対して、実際に治療を受けた日数(40日)×2を比較します。
実治療日数は40日×2により80日となります。
治療期間の日数 | 92日 |
---|---|
実際に病院に行って治療をした日数 | (40日)×2=80日 |
治療期間92日と実治療日数の80日を比較して、少ない方が慰謝料を算出する際の日数とされます。
自賠責保険での慰謝料は、1日あたり4200円ですから、「4200円×80日」となります。
自賠責保険基準での慰藉料は33万6000円となります。
因みに、自賠責保険での慰謝料の限度額は120万円となっています。
2-2 慰謝料が120万円を超えた場合はどうなるの〜加害者の状況次第で決まる
慰謝料が120万円を超えた場合、自賠責保険からは受け取ることができません。
120万円を超える額の受け取りについては、加害者が任意保険に加入しているか、または加害者の資力次第で決まります。
加害者が任意保険に加入しているなら、保険会社に対して超えた部分を請求することができます。
任意保険に加入していなかった場合には、、加害者本人に請求することになります。
しかし、加害者の資力によっては賠償を受けることが現実的には難しくなります。
ないところからは取れない!ということです。
3. 基準が違うとどれくらいの差がでるの?数十万の差がでるケースも
弁護士基準とは、具体的には通称「赤い本」と言われるものから交通事故の慰謝料が算出されます。
因みに、先ほどの条件(後遺障害なし・通院のみ)で弁護士会基準での慰謝料を算出すると60万円程度となります。
参考:当センターの刊行物について(青本及び赤い本)〜公益財団法人 日弁連交通事故相談センター
自賠責保険基準と比べると、約24万円程度のひらきがあります。
弁護士会基準での慰謝料の方が多く受け取れます。
しかし、専門家ではない素人が弁護士会基準での交渉というのは実際には難しいところです。
弁護士会基準での慰謝料は、裁判や弁護士が介入して認められる金額だと言えます。
また、弁護士に依頼するとなるとそれなりの費用が必要となる点も考慮しなくてはいけません。
弁護士に依頼するかどうかは大変難しいところです。
半年を超えるような通院期間の場合には、弁護士に交渉を依頼した方がいいでしょう。
3ヶ月程度の場合には、保険会社基準での合意を最低ラインとして、弁護士基準に近づくように交渉するのが良いでしょう。
ただし、欲を出しすぎて交渉が決裂しては面倒なことになります。
自賠責基準と弁護士会基準の中間値くらいを目指して交渉してみてください。
実際にも、その辺での示談が慰謝料の一般的(裁判外・弁護士介入なし)な相場と言えるでしょう。
なお、大きな怪我等の場合で慰謝料額が大きくなる場合には、弁護士費用がかかっても弁護士に依頼したほうが慰謝料が多くなるのが一般的です。
多くの弁護士事務所では、交通事故についての無料相談窓口を設置しています。
まずは、専門家に相談してみましょう。