損しないために不倫した夫(妻)への慰謝料請求裁判で知っておくこと
不倫による慰謝料請求裁判で重要な事とは準備すること、冷静な判断です。
慰謝料請求前に行う準備としては、裁判を起こすうえで、必要な「不倫相手の名前と住所」、「確実な証拠を揃えること」です。
冷静な判断とは
・自分のケースでは慰謝料請求をしてどの程度の金額を受け取れるか?
・どのくらいの費用がかかるかを知ること
・費用対効果の面から見て無駄な裁判をしないかどうかを考えること
あえて厳しい事を言います。
慰謝料請求の判決では、
1000万円を請求して200万円
500万円を請求して50万円
これしか認められないケースもあります。
また、高額な請求をするほど裁判費用(弁護士費用や訴訟費用)はかかってきます。
「慰謝料請求をして50万円しか取れないのに、100万円もかけて裁判をする」というのは無駄ですね。
慰謝料請求の相場や裁判手続きについて説明していきます。
損することなく慰謝料を取る方法を考えていきましょう。
慰謝料請求裁判において不倫した夫(妻)から取れる金額
【一般的な例】
不倫による慰謝料請求額の相場 | 200万〜300万円 |
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不倫が原因で離婚した場合、慰謝料請求額の相場 | 200万〜300万円 |
離婚することなく慰謝料だけの請求 | 50万〜100万円 |
上記が一般的な例言われています。
しかし、この慰謝料請求額を鵜呑みにしてはいけません。
裁判となると、肉体関係を証明できる決定的な証拠があったとしても、必ずしも慰謝料請求の相場金額の通りに取れるわけではありません。
慰謝料の金額は、さまざまな事情や状況から裁判官が決めます。
不貞行為が1度か2度、不倫の期間も半年以内というようなケース
慰謝料請求をしても実際に取ることの出来る金額は、100万円以内になるという判例も多くあります。
裁判するよりも示談で話し合い慰謝料を請求し解決した方が、慰謝料が多く取れる傾向があるというのも事実です。
示談の場合
慰謝料などの請求を相手が受け入れるかどうかで決まります。
むやみやたらに慰謝料を請求するのではなく、請求の際の交渉がポイントとなります。
【参考ページ】
慰謝料請求で裁判をした場合
実際に受け取れる金額に関して、専門家に一度相談した方がいいでしょう。
慰謝料請求の前に確実な証拠を入手する!証拠の集め方
不倫による慰謝料請求の裁判を起こすうえで、必ず必要になるものは、「決定的な証拠」です。
決定的な証拠とは、相手が嫌でも不倫をした事実を認めざるを得ない証拠のことです。
これがないと、肉体関係のある不倫だということを裁判官に証明できません。
また、慰謝料請求の裁判となると、相手も不倫の事をなかったことにしようと必死になってきます。
黙らせるためにも決定的な証拠は重要です。
どんなものが証拠となるの?
証拠と言っても、肉体関係の事実を証明できるものが一番重要になります。
- ラブホテルへ出入りしている写真
- 不倫相手の一人暮らしの家へ出入りしている写真
これは、誰がどうみても肉体関係があったと判断できる証拠だと言えます。
慰謝料を請求するための決め手となる証拠とは?
不倫相手とのLINEやメールでのやり取りというのも証拠にはなります。
しかし、普通に付きあっているような会話のやり取り。
会う約束をしているような内容だと、証拠としての力は弱いです。
それだけでは肉体関係の事実を証明できません。
なお、肉体関係があったと誰が見ても分かるような具体的な会話であっても、ホテルへの出入り写真に比べると、弱い証拠となります。
・二人で抱き合っているような写真
・手をつないで歩いている写真
・日記等も補足資料
上記も証拠になります。
ただ、同様に「肉体関係があること」の証明には力が足りません。
請求した慰謝料を取るためには、決定的な証拠を準備しておくことです。
そういった証拠が最低でも2つはあると、「継続して不倫していた」ということが証明するためのポイントになります。
より有利に裁判を進めることや慰謝料を多く請求することが可能となります。
慰謝料請求の裁判する場合
- GPSを利用
- 相手の友人や同僚を仲間につける
決定的な証拠以外にも、多くの証拠を集めておきましょう。
肉体関係を証明できる証拠が自分で揃えられない場合
探偵を使ってでも、用意しておくことをお勧めします。
なお、探偵に依頼する際は、計画的にお願いしないと費用が高くついてしまいます。
相手の行動パターンを把握して、依頼は計画的に行いましょう。
【参考ページ】
浮気調査をしたいけど探偵事務所ってどんなところ?悩んでいるなら探偵や探偵事務所に相談して悩みを解決しよう
慰謝料請求裁判を弁護士に依頼した場合の流れ
慰謝料請求に関することを弁護士に依頼すると、着手金という費用がかかります。
【一般的な例】
着手金の相場 | 20万円〜30万 |
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着手金は必ずしも固定額ではありません。
相手方に請求する金額に応じて決める弁護士も多くいます。
裁判で相手方に対して400万円を請求する場合の例
着手金が請求額の10パーセントとなっている場合には、40万円が必要になります。
慰謝料請求の裁判の判決後には報酬金を支払うことになります。
【多くの弁護士のケース】
実際に慰謝料請求をして得ることができた金額(判決の金額・和解した金額)に対して数十%(10から20%)という形で設定しています。
400万円の請求に対して100万円の判決が出たとしたら、報酬金は10〜20万円となります。(※慰謝料請求では、請求額を高めにして訴えをおこすのが通常です)
判決等で受け取った慰謝料の金額が低ければ報酬金は低くなります。
印紙代や切手代、交通費等で3から5万円はかかります。
結果
400万円慰謝料を請求し100万円獲得できた場合に手元に入る金額は、
約40万〜約60万円前後となります。
慰謝料請求をするために裁判を起こす場合は、
・かかる費用
・請求後受け取れる予想金額
必ず上記を確認して、冷静に判断しましょう。
慰謝料請求裁判の流れと決着がつくまでの期間
弁護士に依頼すると、裁判を起こす前に、内容証明で相手方に対して慰謝料の請求をするのが通常の流れです。
相手方が請求に応じるような反応を示せば、ここで一度示談へ向けて交渉を行います。
交渉が成立した場合は慰謝料請求の裁判はしません。
慰謝料を受け取り和解して終了となります。
交渉に応じない、または交渉が決裂した場合は、訴えを提起(出すこと)することになります。
弁護士は、訴状を作成して裁判所に提出します。
この際、既にある証拠等も一緒に提出するのが一般的です。
相手方に対しては、裁判所から訴状が送られます。
相手方が弁護士を雇うかどうかは相手次第ですが、相手方も訴状に反論してきることもあります。
反論してきた時相手サイドの動きとは
- 訴状の反論
- 自分の言い分を書いた答弁書という書面
第1回目の裁判の前に裁判所に提出することになります。
第1回目の裁判
- 請求する側が提出した訴状と証拠
- 相手側が提出した答弁書の内容
この書類を確認することから始まります。
争いがある場合には第2回目へと進んでいきます。
第2回目までの間に準備すること
- 互いに新たな証拠
- 訴状や答弁書とは別に、互いの言い分をより詳細に書いた書面(準備書面)
上記を提出したりします。
争いが解決しない場合は、本人尋問となります。
裁判所の動き
本人が自分の言葉で主張する機会を設け、双方の思いや言い分を確認します。
都度、和解することを促します。
互いに妥協できず折り合いがつかなければ、慰謝料請求の裁判は進行していきます。
全ての証拠や主張を出し尽くすまで続きます。
これ以上裁判を続ける必要がないとした時点で、判決を出すのが通常の流れです。
慰謝料請求による裁判を提起してから決着がつくまでの期間はケースによって異なります。
互いに争いがない場合や請求に応じて和解する場合には、半年以内で決着がつく傾向です。
しかし、争いがある場合には、1年はかかると思ってください。
1年以上、2年近くかかるケースも少なくありません。
慰謝料請求の裁判となると、自分の思うようには事が進まないことも覚悟しておいた方がいいでしょう。
不倫相手への慰謝料請求裁判
不倫相手に対しての慰謝料請求裁判手続きについても、パートナーに対しての慰謝料請求裁判と同様の流れになります。
不倫相手とパートナーと同時に慰謝料を請求する場合は、1つの事件として裁判を行うのが一般的です。
ただし、裁判で不倫相手から納得のいく慰謝料を取るには、パートーナーとの裁判以上に決め手となる証拠が重要となってきます。
裁判官の判断とは、
- 不倫(肉体関係)を始めるきっかけはどちらにあったのか?
- パートナーと不倫相手の関係性
- 婚姻の事実を知っていたか否か
などの要件も考慮して慰謝料を決めます。
これまでの全体的な判例を見ても、高額な慰謝料を取れたケースは多くありません。
厳しく言えば、
- 婚姻関係も長い
- 不倫期間も長い
- 婚姻の事実を知っていたうえで肉体関係を持った
- 肉体関係を証明できる証拠
- 他の証拠
上記の証拠を全て出してもやっと200万円いくかなという感じです。
有利に進められる証拠があったとしても、不倫相手の支払い能力が低い場合(学生とか専業主婦)だったり・・・・
既にパートーナーから多めに慰謝料を受け取っている場合は、裁判所はその事情を考慮して請求した金額よりも不倫相手の慰謝料を減額します。
結果的に、不倫相手の慰謝料の支払い額は、0円〜数十万円程度という判決に。。
不倫による慰謝料請求の裁判というのは、精神的な苦痛をより受けることになる場合も多くあります。
自分の感情任せに、「慰謝料請求の裁判を起こす」ということはするべきではありません。
慰謝料を請求する裁判を起こすと決める前に、専門家の意見を聞いておくことをお勧めします。